近年、ポイ活が節約方法として人気です。なかには万単位で稼いで、副業にする人も現れています。
ところで、当然思い浮かぶ心配として、副業にできるほどたくさんポイントを稼いだら、確定申告は必要になるのでしょうか?
じつは、ポイ活でも確定申告が必要なケースがあります。この記事では、税制上におけるポイントの取りあつかいや、確定申告が必要になるケースを、国税庁の情報に基づいて分かりやすく解説します。
そもそもポイ活とは
ポイ活とは「ポイント活動」の略で、提携店での買い物やポイントプログラムなどでポイントを貯めたり、貯まったポイントを使ったりすることを指します。
ポイントは1ポイント=1円で使えるのが一般的で、商品やサービス、マイルなどと交換できることもあります。
ポイントカードやアプリがあればすぐに始められて、日々の買い物で自然と貯められるため、節約手段や副業として始める人が増えています。
ポイ活に確定申告は必要?
ポイントを得たら、必ず確定申告が必要になるわけではありません。
そもそも確定申告とは、1年間の収入から各種控除を差し引いたあとの「所得額」を申告する手続きです。
ポイントはその付与方法によって、所得として判断するか否かが変わってきます。
そこでまずは、ポイ活で確定申告が必要なケース・不要なケースを解説します。
必要なケース
ポイ活で収入を得ている場合、確定申告が必要な条件は以下のとおりです。
・給与所得者で、一時所得が年間50万円以上、雑所得が20万円以上
・非給与所得者で、一時所得が50万円以上、雑所得が48万円以上
ポイントが所得に該当する場合、その付与方法によって、一時所得と雑所得に分類されます。
詳しい条件はのちほど解説しますので、まずは給与所得者と非給与所得者でボーダーとなる所得額が違うことを覚えておきましょう。
不要なケース
ポイントで所得を得ていても、1年間の合計額が上記の一時所得または雑所得のボーダーに達しなければ、確定申告は不要です。
ポイントが所得となるのは、ポイントが「経済的利益」に該当する場合です。
経済的利益とは、所得税法によると「金銭以外の物または権利その他経済的な利益」と定義されています。
たとえば買い物によりポイントを得たとき、多くの店舗で使える共通ポイントは経済的利益として、ポイントを発行した会社の店でしか使えない独自のショップポイントは商品購入時の値引きとしてあつかわれることが一般的です。
つまり、買い物で得たショップポイントであれば、基本的に所得には当てはまりません。
また、ポイントが所得となるのは、ポイントを使用したタイミングです。
1年間に50万円分以上の共通ポイントを得たとしても、保有しているだけでは課税の対象となりません。
一時所得と雑所得とは
ポイントが一時所得・雑所得になるのは、どのようなときなのでしょうか? 国税庁のWebサイトからの引用も記載し、解説します。
一時所得とは?
一時所得とは、給与所得や事業利益などを除いた、労働ではない部分で得た所得のことです。
たとえば、競馬の払戻金や懸賞の賞金、法人から贈与された金品などが当てはまります。
ポイントにおいては、買い物やキャンペーンなどで獲得した共通ポイントや、キャンペーンで得たショップポイントを使うと一時所得に該当します。
国税庁のWebサイトでは次のように記されています。
ポイント付与の抽選キャンペーンに当選するなどして臨時・偶発的に取得したポイントについては、通常の商取引における値引きと同様の行為が行われたものとは考えられませんので、そのポイントを使用した場合には、その使用したポイント相当額を使用した日の属する年分の一時所得の金額の計算上、総収入金額に算入します。
引用:国税庁 No.1907 個人が企業発行ポイントを取得又は使用した場合の取扱い
雑所得とは?
雑所得とは、利子所得・配当所得・不動産所得・事業所得・給与所得・退職所得・山林所得・譲渡所得・一時所得のすべてに当てはまらないものを指します。
ポイントにおいては、所得に該当するポイントのうち一時所得を除いたものが該当します。
たとえば、アンケート回答や口コミの投稿など、タスクの対価として得たポイントを使うと雑所得となります。
国税庁のWebサイトでは次のように記されています。
質問やアンケートへの回答等の役務提供の対価として付与されるポイントは対価性があるため雑所得となる。
引用:国税庁 国税庁企業が提供するポイントプログラムの加入者(個人)に係る所得税の課税関係について
ポイ活で確定申告する際の手順
ポイントの確定申告手続きは、どのようにすればよいのでしょうか? ここでは、確定申告の手順を解説します。
ポイ活の収入を記録しておく
ポイ活を始めるにあたって必ず実行したいのが、ポイ活の収入記録を残しておくことです。
確定申告では、年間の所得額を申告する義務があるため、「いつ」「どこから」「どのように」「いくら」獲得したかを残しておく必要があります。
利用するポイントサイトが複数あるなら、各サイトの収入を記録しておきましょう。
このとき、一時所得と雑所得で収支を分けておくと、確定申告時の手間が省けます。
また、ポイ活のコツを学ぶために購入した書籍や、収支管理のために利用したツールの代金なども、経費として計上できる場合があります。
レシートやクレジットの利用明細などは保管しておきましょう。
必要な書類を準備する
確定申告には以下の書類が必要です。
・確定申告書
・源泉徴収票
・マイナンバーカードもしくは身分証明書
確定申告書は、インターネット上の「国税庁 確定申告書等作成コーナー」からダウンロード可能です。税務署窓口でも配布されています。
源泉徴収票は、給与所得者が確定申告する際に必要で、12月の年末調整後に勤務先から配布されます。なお、複数の企業から給与所得を得ていれば、すべての企業分が必要です。
マイナンバーカードを持っていない場合は、通知カードかマイナンバーの記載のある住民票の写しに加えて、運転免許証・公的医療保険の被保険者証(保険証)・パスポート・身体障害者手帳・在留カードのうちいずれか1つを用意します。
確定申告書を作成する
必要な書類をすべて用意したら、確定申告書を作成します。
確定申告書は申請書を手書きするほか、国税庁のWebサイトにある「確定申告書作成コーナー」でも作成できます。
マイナンバーカードがあれば、スマートフォンで作成もできます。
ただし、NFC(電子証明書の読取り機能)もしくはおサイフケータイに対応しているスマートフォンが必要です。
税務署やe-taxで申告する
確定申告書が完成したら、プリントアウトして税務署窓口へ持参するか、郵送、もしくはe-taxからインターネット上で申請します。
確定申告の申告期間は、毎年2月16日から3月15日までが基本で、開始日や終了日が土日と重なる場合は前後します。
申告期間を過ぎたり、無申告だったりすると、延滞税や加算税が上乗せされます。確定申告の準備は早めにしておきましょう。
所得に応じた税金を納付する
確定申告を終えたら、所得額に応じた所得税を納付します。期限は、口座振替なら4月20日前後、現金での納付なら3月15日です。
納付方法は、口座振替や金融機関の窓口での払い込みのほか、クレジットカード納付も可能です。
また、医療費控除やふるさと納税などの控除適用などにより還付金がある場合は、通常、1ヶ月半から2ヶ月ほどで、確定申告書に記載した金融機関口座に振り込まれます。
ポイ活で確定申告する際の注意点
最後に、ポイ活で確定申告をする際の注意点を4つ紹介します。ミスのないようにポイントを押さえておきましょう。
複数のポイントサービスを利用していれば合算する
ポイ活をしている人は、複数のポイントサイトを使っていたり、クレジットカードを数枚持っていたりするケースが多いのではないでしょうか。
それぞれのポイントは、分けて計上するのではなく、すべてのポイントを合算して所得を算出します。
また、一時所得と雑所得は分けて計算しましょう。
申告期限ぎりぎりになってから各ポイントのあつかいを調べると、時間が足りなくなる恐れがあります。
ポイントはいろいろなところから付与されるので、日頃からポイントを獲得したら、早めに記録するクセを付けておきましょう。
確定申告で副業が知られるケースがある
勤務先が副業禁止の場合、確定申告の結果から副業が知られるリスクを覚えておきましょう。とくに注意したいのが、住民税の税額です。
住民税は、前年の課税所得額の10%と定められています。本業分に加えてポイ活で得た収入を確定申告し住民税が想定より高くなると、勤務先に副業が知られるケースがあります。
これを避けるには、住民税を天引きではなく自分で納める「普通徴収」を選びましょう。
他の副収入があれば合算して算出する
確定申告で申告する所得は、過去1年で得たすべての所得です。そのため、ポイ活以外にも所得があれば、それらすべてを計上する必要があります。
たとえば、生命保険の一時金や満期返戻金、年間110万円を超える贈与などが該当します。
ただし、株や投資信託から得られる配当所得や退職所得、山林所得、譲渡所得、利子所得は、ほかの所得と分けて計上する「分離課税」が適用されます。
ポイントへの課税ルールは実は曖昧
ここまでポイントの取りあつかいを解説してきましたが、じつはポイントに対する税制上の扱いや課税のルールは、いまだにあいまいな部分が残っています。
これは、ポイントサービス市場の急速な拡大や、ポイ活で経済的利益を得ようとする人の急な増加などが背景にあります。
課税のタイミングやポイントに課税する条件などは、議論が続いていて、今後、税制上の取りあつかいが変わる可能性も否定できません。
そのため、ポイントを大量に獲得して取り扱いに悩んだときは、税務署への相談も選択肢に入れておきましょう。
まとめ
本格的にポイ活をするなら、確定申告を見据えたポイントの管理や、ポイントの正しいあつかいを理解しておきましょう。
「たかがポイント」と思っていると、思わぬところで納税のルールに反してしまう可能性もあります。
そのまえに、きちんと税制を押さえておいたほうが、安心してポイ活に打ち込めるのではないでしょうか。
ポイントを効率的に貯めるなら、経由するだけでポイントがもらえる、「ポイントサイト」を使うのがおすすめです。
Tポイントのポイントサイト「Tモール」では、経由して掲載されているネットショップへ行き、買い物をするだけで、Tポイントが付与されます。
実店舗でカードを提示するよりも還元率が高いケースも多く、なかには3%や5%という高還元率の店舗もあります。
この記事を通じて、ポイ活の税制をしっかり学んだら、Tモールのようなポイントサイトを活用して、効率的にポイントを貯めていきましょう。
※本記事で紹介している商品・サービス・価格等は記事掲載日時点のもので、内容が変更されている場合があります。